PADDLER’S EYE 湘南の今を独自取材した特集と連載

FEATURE この町に住みたい : 二宮町
第2話・二宮町らしさを発する魅力的なスポットへ
案内人 Mr. 宮戸 淳 | 太平洋不動産

今、二宮がなんだか気になる。湘南内外からの移住者が続々と増えている。
こだわりのパン職人、世界で活躍する画家や写真家、東京で力を蓄えた料理人……
彼らの背景を探ると、一つの答えにたどり着く。
導き人が「太平洋不動産」2代目の宮戸 淳さんだということ。
二宮に生まれ、この土地を愛し寄り添う彼は、不動産屋という領域を超え、
無邪気なまでにこの町の魅力と可能性を発信し続けている。
時代、文化、ヒトの新旧を心地よく結び、二宮のニュースタンダードを紡ぐ人、
宮戸さんに4話に渡りこの町の魅力を案内してもらおう。

Photos : Koki Saito  Text : Paddler

二宮町に暮らす人たちがよく口にする言葉がある。「ほどよい大きさの町」というものだ。車で10分も走れば、この町をくまなく知ることができるという。言い換えれば、愛着のわくアットホームな町ということだろう。約9km2ほどの小さな町は、海と山に囲まれ、ノスタルジックな空気を漂わす古民家や古い商店、それらと順応するかのようなスタイルのある隠れ家的なショップが点在する。そしてそこには、心地よい距離で育まれてきた温かい人間関係がある。そんなバランスに長けた環境の二宮町で、宮戸さんが心を寄せるスポットをいくつか案内してもらった。彼がこの町に移住を考える人たちを案内する場所でもある。
袖ヶ浦公園 | 公園

“平均海抜は20m。二宮は海の景色を見渡せる町なんです ”


「海を見たくなったらフラッとすぐに来れる場所です。二宮町は海抜が高い地形にあるため、海を見渡せる町であることを体感できる場所なんです」

宮戸さんがそう語るように、海と山に挟まれるように広がる二宮町は、町全体が平均的に海抜20m以上という地形で特徴づけられる。そのため、海岸沿いは美しい相模湾のパノラマを楽しむことができ、また海岸沿いの物件の人気も衰えることがないという。

「袖ヶ浦公園」は、JR二宮駅からも徒歩6分ほど。宮戸さんは、二宮町の物件を紹介する途中で、お客様をよく連れてくる場所でも。「海寄りの集落に伸びる小道に導かれてゆくと、目の前にハッとする海の景色が広がり、最高です」。小さく素朴な公園だが、何よりベンチに座って眼下に望む相模湾の刻一刻と変わる景色が心を癒してくれる。

また、公園から海岸まで伸びる松林のプロムナードも歩いてみてほしい。時を経て今に残る黒松の間に見え隠れする海の景色が、とても美しい。たどり着くのは、人々で賑わう湘南の数々の海岸とは一線を画す、静かで安らぎに満ちた「袖ヶ浦海岸」。プライベート感のある隠れ家的なビーチだ。

神奈川県中郡二宮町二宮92-45
https://goo.gl/maps/GhYD3Fobf8s
だいちや | 整体と蒸しパンの店

“この町でなら、できる! はじめたい!と思わせてくれる場所 ”


2017年にオープンした「だいちや」は、整体所と蒸しパン屋を併設させたユニークな店だ。1年半におよぶセルフリノベーションで、何十年も放置されていた昭和の民家を今に蘇らせた場所にある。無垢材をふんだんに利用した新鮮なスタイルでありながら、ノスタルジーを感じる趣きが心地よい。今ここは、二宮町を動かすクリエイティブな住人たちが行き交う、ちょっとしたコミュニティスポットになっている。

店主は、太平洋不動産を介し、都内から移住をしてきた大出ご夫妻。整体師でパン好きな2人の「整体と蒸しパンの店を開きたい」という夢がきっかけでの移住だった。ここでは、天然酵母を使ったモチモチ生地の蒸しパンも、丁寧な2人の施術も人気なのだが、何よりもイートインもできる店内の居心地良さと、夫妻の温かいホスピタリティにみんなが惹きつけられている。

「千葉や山梨、長野や群馬など、数々の町に足を運び、移住先を探した中での二宮でした。都内にも近く、自然が豊かで、さらに商売を始めるのに大きな可能性を感じました。私生活も大切に仕事ができる理想の場所にピタリとハマったんです」とはオーナーの友晃さん。

「絶対にこの物件は化けるぞ! と思っていたんです。賃貸を諦めていた大家さんに『改装自由』という条件を提案すると、すぐに成約につながりました。今では、物件を探すお客さまを、ここに連れてくると、『自分たちにもできるかも!』とか『この町っていいかも』と感じられるんです」と宮戸さん。

「だいちや」は、地域に愛される憩いの場であり、二宮の今と可能性を発見できる場所だ。

神奈川県中郡二宮町川匂71−6
https://www.daichiya.com
だいちやのオーナー、香織さんを囲み、町内の仲間とおしゃべりが弾む
二宮町ふれあい農園

“ 自然に抱かれて育む新鮮なコミュニティ“


庭の片隅で菜園づくりを楽しむ人、借りた農地で畑作業に汗を流す人——そんな光景をあちこちで目にするのも二宮だ。「畑を楽しむ」「自分でつくる野菜を食べる」人口が多いのもまたこの町の特徴だろう。

ここ「二宮町ふれあい農園」は、抜群のロケーションにある町営の農園だ。場所は、吾妻山の裾野に広がる山西地区。市街化調整区域のここには、昔ながらの美しい原風景が目の前に広がる。町民であれば誰もが農地を借りることができ、ひとりあたり1区画20〜35㎡の農地での畑ライフを、年間を通じて楽しむことができる。しかも利用料は年額 100 円/㎡というから驚きだ。

「昔からこの場所が大好きでした。海辺の袖ヶ浦公園しかり、この畑しかり、遠くに行かなければない場所ではなく、すべてが至近距離にあるんですよ。それが二宮の魅力なんです」。

宮戸さん自身はここに畑はもたないが、多くの仲間がここでの畑ライフを楽しんでいることもあり、よく足を運ぶという。訪問した日には、かつて宮戸さんのお客さんであり、今や友人の横浜市青葉区からの移住者、上村舞子さんが収穫にやってきていた。

「遮るものもなく、南風が吹き、温暖な二宮では、野菜がとてもよく育ちます。移住してきた当時は、知り合いもいなかったのですが、宮戸さんが仲間をつなげてくれて。私たち夫婦は彼のことを、不動産屋の枠を越えた“ 私たちのプリンス” と呼んでいます(笑)。この農園でも、食や自然が好きな様々な世代が集まるのが楽しい。色々と教えてもらったりしています」と上村さん。

「私が仲介したお客様が、こういった二宮ならではの暮らしを楽しんでいたり、コミュニティが広がっていく様子を見かけると、とても嬉しくなります。何もない町と言われることがありますが、何もないからこそ、こういった『食』や『遊び』をクリエイトしていく楽しみがあると思います。都会は便利だけど消費者でいつづけることになります。お金を消費しなくても心が満たされる。この農園風景を見るたびに、そんなふうに思うのです」

ここから生まれるモノの多さと豊かさを感じさせられる魅力的な農園だ。

神奈川県中郡二宮町山西 付近
http://www.town.ninomiya.kanagawa.jp/recruitment/1444372661545.html


次回、第3話では、東京から二宮町に移住し、この町を拠点にグローバルに活躍する画家・森口裕二さんを訪れます。
上村さんの畑では、トマトやピーマン、ナスなどの野菜のほかハーブ類も豊かに育つ

宮戸さんが心を寄せる二宮町のスポット
Photos by Mr. Jun Miyato

吾妻山公園「二宮町のシンボル的存在。町民誰もが誇る場所です。山頂から相模湾、箱根、丹沢山地、そして富士山も望む360度の大パノラマ。菜の花畑はもちろん、どの季節でも感動する景色があります」②CORAL by Salon de YOU「オーナーの三好君は、私とともに二宮町商工会青年部所属で町を盛り上げる仲間。オシャレな店内、フレンドリーなスタッフたちで、リラックスして気持ちよくヘアカットしてもらえます」
ルスティカ「本格イタリア家庭料理の店。アットホームな店内も、温もりを感じる料理の数々にも、オーナー谷川ご夫婦の人柄が表れています。緑の多い一色地区にある一軒家の店は、ホっと心が休まる場所」④梅沢海岸「車で浜まで乗り入れられ、仕事で煮詰まった時などにパっと行ってすぐに海の景色を眺めることができます。BBQや磯釣りもできる場所です」

PROFILE

宮戸 淳 Jun Miyato

「太平洋不動産」店長、宅地建物取引士

不動産企業でのキャリアを経、父・宮戸慎一氏が二宮町で創業した「太平洋不動産」に入社。彼による「太平洋不動産」公式サイトやSNS、ブログでの情報発信が好評。中でも、独自の視点とオピニオンたっぷりに物件と町の魅力を発信する「くらしの情報」が人気だ。古民家や古い空き家など、ポテンシャルのある物件から、それらを再生させ暮らす魅力的な住人、興味深いイベントやスポットまで、リアルな二宮の今を紹介している。店長のブログ、「ハッピーにのみやライフ」https://ninomiya-life.comでは、公私ともに町のために精力的に活動する彼の姿が。

太平洋不動産
神奈川県中郡二宮町二宮167-3
Tel. 0463-73-3377
公式サイト https://taiheiyou-realestate.com