PADDLER’S EYE 湘南の今を独自取材した特集と連載
FOOD BATON エルルカン ビス 伊東淳一さんのフランス料理
海や山、自然に恵まれた湘南には、季節折々の旬な 食材が集まる。
その食の豊かさにひかれて、この地に暮らす男達は多い。
食のバトンがつなぐ、湘南のテーブルストーリーに耳を傾けてみよう。
今回、ピッツェリア・イタリアーナ・マルツォの松山清和さんから、フードバトンを引き継ぐのは、
「エルルカン ビス」の伊東淳一さんだ。
「#005ピッツェリア・イタリアーナ・マルツォ松山清和さんのローマピザ」はこちらから
Photos : Pero Text : Paddler
自分の料理を求めて、シェフから見習いへ
湯河原は古くから名湯の地として知られ、「東京の奥座敷」として栄えてきた。多くの文客や政治家が逗留し、口うるさい食通たちの舌に応えるべく旅館や料亭がしのぎを削ってきた。今でも星付きの店もことに多く、食の激戦地と言える。この湯河原で評判のフレンチレストランが、「エルルカン ビス」だ。店内に足を踏み入れると、まず圧倒されるのがガラス窓の向こうに広がる竹林だ。緑のカーテンからこぼれる木漏れ日が、店の空気を凛とさせる。
「この竹林にひと目ぼれして、ここに店を構えたんですよ」と、語るのはオーナーシェフの伊東淳一さんだ。
足を運んだの昼時、コースの一つが、その名も「木漏れ日のランチ」。前菜2品とスープ、メインと続くが、どれも本格的なフレンチながらも独創的だ。見た目もさながら、“和”の繊細さが口にたおやかに広がる。フレンチと日本料理のマリアージュと表現がしっくりくる。
「ベースはフランス料理ですが、ところどころ日本料理のワザを生かしています」
銀座のフレンチレストランで修行していた伊東さんは20代半ばで、単身ヨーロッパへ。フランス、ベルギー、イタリアの三ツ星レストランで経験を積んで帰国、若くして大阪のフレンチレストランにシェフとして迎えられた。だが、料理を突き詰めるうちに壁にぶつかる。
「いい店ばかりで働いてきたので、グランシェフたちの料理が原点になってしまっていた。自分らしいレシピが出せなくなってしまい、悩んでいたんです」
そして、徳島の「青柳」の門を叩く。青柳といえば、日本料理の重鎮で世界的にも知られる小山裕久氏が率いる名店だ。
「自分が求める日本人の作るフランス料理の扉を開いてくれるのは、この人かもしれないと思ったんです」
シェフを辞め、見習いとして一から修行を始めることに。苦節の末に、フレンチと和を融合させた「自分のフランス料理」を見出すことができた伊東さん。35歳にして、自分の店を都内にオープンさせた。↙︎
湯河原は古くから名湯の地として知られ、「東京の奥座敷」として栄えてきた。多くの文客や政治家が逗留し、口うるさい食通たちの舌に応えるべく旅館や料亭がしのぎを削ってきた。今でも星付きの店もことに多く、食の激戦地と言える。この湯河原で評判のフレンチレストランが、「エルルカン ビス」だ。店内に足を踏み入れると、まず圧倒されるのがガラス窓の向こうに広がる竹林だ。緑のカーテンからこぼれる木漏れ日が、店の空気を凛とさせる。
「この竹林にひと目ぼれして、ここに店を構えたんですよ」と、語るのはオーナーシェフの伊東淳一さんだ。
足を運んだの昼時、コースの一つが、その名も「木漏れ日のランチ」。前菜2品とスープ、メインと続くが、どれも本格的なフレンチながらも独創的だ。見た目もさながら、“和”の繊細さが口にたおやかに広がる。フレンチと日本料理のマリアージュと表現がしっくりくる。
「ベースはフランス料理ですが、ところどころ日本料理のワザを生かしています」
銀座のフレンチレストランで修行していた伊東さんは20代半ばで、単身ヨーロッパへ。フランス、ベルギー、イタリアの三ツ星レストランで経験を積んで帰国、若くして大阪のフレンチレストランにシェフとして迎えられた。だが、料理を突き詰めるうちに壁にぶつかる。
「いい店ばかりで働いてきたので、グランシェフたちの料理が原点になってしまっていた。自分らしいレシピが出せなくなってしまい、悩んでいたんです」
そして、徳島の「青柳」の門を叩く。青柳といえば、日本料理の重鎮で世界的にも知られる小山裕久氏が率いる名店だ。
「自分が求める日本人の作るフランス料理の扉を開いてくれるのは、この人かもしれないと思ったんです」
シェフを辞め、見習いとして一から修行を始めることに。苦節の末に、フレンチと和を融合させた「自分のフランス料理」を見出すことができた伊東さん。35歳にして、自分の店を都内にオープンさせた。↙︎
料理の道、たどり着いたのは湘南
東京で生まれ育った伊東さんは、「いつか海の近くに店を構えたい」という思いが頭の中にずっとあった。店も軌道に乗った12年前、湯河原に支店をオープンさせた。そして、現在ではこの店一本で料理人として勝負をする。湘南という地に料理人としてのやりがいを見出したのだ。
「地方だと、場所によっては新しい料理が受け入れてもらえずに、月並みな料理を作らなければならない。ですが湘南は、東京、横浜も日帰りエリアですし、別荘もあるので、普段から都内のいろいろ店で食べている方が多い。新しい料理を考えていると、たまに奇抜なものを作るじゃないですか。それもわかってくださる」
「お客さんは東京のときの店よりもクオリティがいい」と語る伊東さん。それだけに料理には気を抜けない。食材は地産地消にこだわるのではなく、「味と質」にこだわる。全国津々浦々に食指を伸ばし、眼鏡にかなった旬の素材のみを使用する。また新しくシェフを迎え入れダブルシェフで、厨房を切り盛りする。料理がマンネリして“殻”ができてないように、刺激し合うためだ。
「田舎者という言葉がありますが、要求するレベルが低くて、それに合わせて満足している状態が、僕にとっては田舎者。自分がより上のものをやろうとしている人は、別に田舎にいても田舎者じゃないと思います。湘南は、そんなところではないですか」
このような店が湘南にあることは、この地に暮らす者にとってはうれしい限りである。
東京で生まれ育った伊東さんは、「いつか海の近くに店を構えたい」という思いが頭の中にずっとあった。店も軌道に乗った12年前、湯河原に支店をオープンさせた。そして、現在ではこの店一本で料理人として勝負をする。湘南という地に料理人としてのやりがいを見出したのだ。
「地方だと、場所によっては新しい料理が受け入れてもらえずに、月並みな料理を作らなければならない。ですが湘南は、東京、横浜も日帰りエリアですし、別荘もあるので、普段から都内のいろいろ店で食べている方が多い。新しい料理を考えていると、たまに奇抜なものを作るじゃないですか。それもわかってくださる」
「お客さんは東京のときの店よりもクオリティがいい」と語る伊東さん。それだけに料理には気を抜けない。食材は地産地消にこだわるのではなく、「味と質」にこだわる。全国津々浦々に食指を伸ばし、眼鏡にかなった旬の素材のみを使用する。また新しくシェフを迎え入れダブルシェフで、厨房を切り盛りする。料理がマンネリして“殻”ができてないように、刺激し合うためだ。
「田舎者という言葉がありますが、要求するレベルが低くて、それに合わせて満足している状態が、僕にとっては田舎者。自分がより上のものをやろうとしている人は、別に田舎にいても田舎者じゃないと思います。湘南は、そんなところではないですか」
このような店が湘南にあることは、この地に暮らす者にとってはうれしい限りである。
WHERE THE NEXT?
伊東さんオススメの一軒は?
LA BOTTEGA GOLOSA(湯河原町)
ラ・ボッテガ・ゴローザ
「とても評判のいいイタリアンレストランです。オーナーシェフの後藤さんは、僕と同じように東京から湘南に移り住んで店を出した方です。プライベートでもお邪魔しますよ」(伊東)
伊東さんオススメの一軒は?
LA BOTTEGA GOLOSA(湯河原町)
ラ・ボッテガ・ゴローザ
「とても評判のいいイタリアンレストランです。オーナーシェフの後藤さんは、僕と同じように東京から湘南に移り住んで店を出した方です。プライベートでもお邪魔しますよ」(伊東)
エルルカン ビス
湯河原町宮上744-49 [MAP]
TEL. 0465-62-3633
OPEN. 11:30〜13:30、18:00〜20:30
CLOSE. 水
http://www.herlequin.com/
TEL. 0465-62-3633
OPEN. 11:30〜13:30、18:00〜20:30
CLOSE. 水
http://www.herlequin.com/