PADDLER’S EYE 湘南の今を独自取材した特集と連載

FEATURE カザマナオミ展
2月8日(木)〜4月1日(日) @ THE BLANK
カザマナオミと阿波和紙の出逢いが織りなすハプニング

Text:Miku Kamiura  

鎌倉の由比ガ浜通り沿いに、粋な大人たちが集うバー「THE BANK」がある。その名の通り、この建物は1928年に開業した旧鎌倉銀行由比ガ浜出張所として建てられたもの。一歩中へと足を踏み入れれば、銀行時代の重厚な大理石カウンターが残り、“あの頃”の時間が流れる。

初代オーナーであった気鋭アートディレクター、故・渡邊かをる氏の遺志を継ぎ、昨年この伝説的なバーを再オープンさせたのが、世界を舞台に活躍するインテリアデザイナー、片山正通さん(「ワンダーウォール」代表)。2階には「THE BLANK」と名付けられたイベントスペースを設け、「THE BANK」のキュレートのもと、様々なイベントを開催している。

ここを舞台に、2月8日から「カザマナオミ展」がスタートした。カザマナオミさんは、当ウェブマガジンの連載記事「The Paddler」にもご登場いただいた、江ノ島在住のアーティスト。アメリカを代表する著名ストリートアーティスト「OBEY(オベイ)」こと、シェパード・フェアリーに師事し、主にシルクスクリーンの技法を使ったアート活動を行っている。

そんな彼が昨年末には、手透き和紙の里として知られる、徳島県吉野川市に滞在し、地元の文化や風土にふれながら創作活動をしていく「アワガミ アーティスト イン レジデンス」に参加した。今回の展示は、その滞在中に制作された、1300年の歴史を持つ阿波紙に墨を合わせた作品の一部が披露される。

「キャンバスとアクリル絵の具の組み合わせに比べると、まったく均一には仕上がりません。滲み、かすれなど、刷るたびにハプニングが起こるのです」

通常のシルクスクリーンプリントには、図柄の型を施した版があり、その型にインクを流し込むことで、常に一様の図柄が形成される。ところが、カザマさんは「この型を取り払えば、液体は自由に“態度をとる”ことができる」と考えた。手漉き和紙に刷り重ねた作品は、これまでとは違う、計算外の豊かな表情が印象的だ。↙︎
2月25日(日)には、カザマさん自身による、ライブスクリーンプリントも。オーガニックコットンの認知度を上げること、また、着なくなった衣類にプリントを施して新たな価値を吹き込むプロジェクト「Big-O project」の一環で、カザマさん所有の版から好きな柄を選び、好きな場所に、好きな色で、プリントしてもらうことができる。

ほかにも、期間中の週末には、カザマさん主催の様々なイベントが予定されている。2月17日(土)には、『PADDLER』の連載記事「Girlfriends」ページにて、魅力的な湘南の女性たちを撮り下ろす写真家・斉藤有美さんによる「深夜写真館」も開催。カザマさんの作品をバックに、ほろ酔い気分の自分を撮影してもらっては、どうだろうか?

各業界で一目置かれる湘南ベースのクリエイターたちを巻き込んでのイベントは、カザマさんの豊かなネットワークと湘南の今を感じられる催しになるはずだ。


<イベントスケジュール>
2/17(土)15:00〜24:00
「深夜写真館」 予約不要 1,500円(税込)

2/24(土)19:00〜/ 20:30〜/ 22:00〜
「Wild Boar Night」 要予約
料理人でジェラテリア「The SE1 Market」のオーナー、新安夫による野生イノシシのオーブン料理をメインに、歴史的な建物でアートと音楽を堪能。
※ 2,500円(税込)料金には小前菜とメイン料理が含まれる
※予約窓口: SE1 新(あたらし) tel. 0466-24-8499

2/25(日)15:00〜23:00
「Big-O project」 予約不要 
カザマナオミによるライブスクリーンプリント。プリント代は自由料金

3/3(土)・4(日)20:00〜
「BEAUTRIP」 要予約
「BEAUTRIUM」湯本トオルの出張ヘアーデモンストレーション
※予約窓口: ビュートリアム 湯本 tel. 0467-39-6539

3/31(土)・4/1(日)18:00~24:00
「Random DISCO」 予約不要
レコードを持ち寄り、THE BLANKで一緒に聴くイベント
参加費無料/ワンドリンク制

INFORMATION

カザマナオミ展

日程:2月8日(木)〜4月1日(日)
時間:17:00〜25:00(平日)、15:00〜25:00(土・日・祝)
会場:THE BLANK
鎌倉市由比ガ浜3-1-1 THE BANK 2F
定休日:月・火(THE BANKの定休日に準ずる)
入場無料