CITY GUIDE THE PADDLERが紹介するとっておきのスポット

GUIDE SPOT らぁめん鴇 (Toki) 藤沢 | ラーメン

Photos: Nobuo Yano  Text: Paddler

街灯もなく、バスも通らず、藤沢のローカルでさえも見過ごしてしまいそうな立地。あえてそんな場所を選び、のれんを上げることもなくひっそりと店構えするのが「らぁめん鴇」だ。とはいえ、開業4年を迎えた店頭には、店主・横山巧(たくみ)さんのラーメンを求め、連日行列が成す。おいしさに立地は関係ないのだ。

10席だけのコンパクトな店内は、隠れ家的な日本料理店の趣。無垢材のカウンターと品のある珪藻土の壁、さらに印象的なのは、くもり一つないステンレス総張りの厨房だ。「当たり前のように丁寧に、きれいに実践すること」が横山さんのラーメンへの姿勢なのだ。

そんな空間で客たちが心待ちにするのは、横山さん自身がすべてを仕込み、手作りする渾身の一杯。麺は4種のメニューに合わせ、毎朝自ら打つ自家製だ。一押しの「白醤油」(830円)には細麺をこしらえ、小麦を主原料とする甘みのある醤油と、昆布や椎茸などの乾物と魚介のみからとった出汁による特性スープでもてなす。麺とスープ両者の甘みがすっと抜け、優しくジンワリと旨味が出てくる絶品だ。

チャーシュー作りにも当然と丁寧な手仕事が息づいている。バリエーションは3種類。豚モモ肉を醤油麹で熟成させ炭火で吊るし焼きにしたもの、豚バラ肉を約2週間かけ氷温熟成したもの、そしてソミュール(スパイスを調合した塩水)漬けした鶏肉を低温真空調理したものだ。さらに、器とレンゲにもこだわりが。醤油をまろやかにする有田焼の特質に着目した特注だ。器一つで味も気分も変わってくると話してくれた。とはいえ、店の敷居が高いわけではない。幼少期からラーメン屋に行くことが大好きだった横山さんは、子どもたちの来店を心待ちにする。

「五感で味わえるラーメンを意識しています。おいしさと旨味を時間差で感じられ、余韻が残り、また食べたいと思ってもらえるものを。また、これまで学んだことを崩さずに高め、ラーメンを一麺料理として高めてゆくことが師匠たちへの恩返になると思ってやっています」

横山さんの実直さが映る一杯のラーメン。これからがもっと楽しみだ。

DATA

らぁめん鴇 (Toki)

神奈川県藤沢市藤沢1034
Tel. 0466-26-6301
OPEN. 11:00~15:00(火〜金)、11:00~15:00/19:00~22:00(土・日)
CLOSE. 月
*材料がなくなり次第終了することも
Twitter. https://twitter.com/toki331toki

RECOMMENDED BY

「小・中学生時代の友人の店。ラーメン屋になることをその頃から夢見、ラーメン一筋の人生。店の立地も悪く、店構えも控えめなのに、いつも店頭には行列が。自家製麺、無化調、素材にこだわり、一杯に店主の繊細さを感じる。メニューは少ないがどれも最高」

浜野展行さん

「まず店構えが極限にシンプルで清潔。店主のラーメン作りに対する姿勢がそこでも感じられます。またラーメンはとてもシンプルで良質な素材の味が決め手。麺も自家製麺で飽くなき研究を訪れる度に感じます。店主の真面目で丁寧な人柄が出ているラーメンです!」

Chakiさん