THE PADDLER 湘南で自分らしく人生を切り拓いてゆく男たちを紹介
THE PADDLER | 055
Mr. Shinsuke Kojima
KAPTAIN SUNSHINE デザイナー
児島晋輔さん | 鎌倉
INPUT
「自分はずっとエディットして洋服づくりをしているんだと思います」
例えば、定番といわれるような形でも襟や裾のディテールの少しの違いや、素材の違いなどで、その印象はガラリと変わるのだから洋服というものはあらためて面白い。
そんな“違い”を生み出す細部にまでこだわりを持って取り組んでいるブランドは日本に多く存在する。それは古くから高いクオリティを保ってきた日本の伝統的なものづくりの文化が背景にあるのだろう。
だが、その細部のさらに細かい世界、生地はもちろん一本の糸にまで追求を怠らずに洋服づくりをしているブランドとなると、そう多くは存在しないのではないだろうか。2013年にスタートした『キャプテンサンシャイン』はまさにその領域まで解像度を上げて洋服づくりをしているブランドだ。
「素材生産と縫製についてはすべて日本で行なっています。昔から海外のメゾンが日本の素材を使いたがるように、日本の素材と技術は世界でも有数のものなんです。日本人はやはり伝統的に職人気質だし、作業がとても細やかなんですよね。コストが高くなるということはありますけど、メイドインジャパンにこだわったものづくりをしたいと思って始めたので、そこは大切にしたい部分ですね」
鎌倉に暮らす児島晋輔さんがデザイナーを務める『キャプテンサンシャイン』は、ファブリックカンパニーを母体にしているからこそのネットワークと知識で、素材を研究しながら洋服づくりをしている。
「例えばウールなら尾州、コットンなら静岡とか、歴史的な背景もあって土地に根付いてきた素材の産地があるんです。今はどちらかといえば海外に流れている素材を選んで服をつくるという流れが一般的になってきていることもあって日本の素材づくりの産業は衰退してはいるんですけれど、日本には世界に誇るべきものづくりの文化があるんです」↙︎
そんな“違い”を生み出す細部にまでこだわりを持って取り組んでいるブランドは日本に多く存在する。それは古くから高いクオリティを保ってきた日本の伝統的なものづくりの文化が背景にあるのだろう。
だが、その細部のさらに細かい世界、生地はもちろん一本の糸にまで追求を怠らずに洋服づくりをしているブランドとなると、そう多くは存在しないのではないだろうか。2013年にスタートした『キャプテンサンシャイン』はまさにその領域まで解像度を上げて洋服づくりをしているブランドだ。
「素材生産と縫製についてはすべて日本で行なっています。昔から海外のメゾンが日本の素材を使いたがるように、日本の素材と技術は世界でも有数のものなんです。日本人はやはり伝統的に職人気質だし、作業がとても細やかなんですよね。コストが高くなるということはありますけど、メイドインジャパンにこだわったものづくりをしたいと思って始めたので、そこは大切にしたい部分ですね」
鎌倉に暮らす児島晋輔さんがデザイナーを務める『キャプテンサンシャイン』は、ファブリックカンパニーを母体にしているからこそのネットワークと知識で、素材を研究しながら洋服づくりをしている。
「例えばウールなら尾州、コットンなら静岡とか、歴史的な背景もあって土地に根付いてきた素材の産地があるんです。今はどちらかといえば海外に流れている素材を選んで服をつくるという流れが一般的になってきていることもあって日本の素材づくりの産業は衰退してはいるんですけれど、日本には世界に誇るべきものづくりの文化があるんです」↙︎
児島さんの洋服づくりはまず素材づくりから始まる。そのために産地に足を運び、職人さんたちと意見を交わし合うそうだ。
「面白い素材をつくる人に出会うことがモノづくりのヒントになるんです。その繰り返しですね。この職人さんたちは次にどういうこと考えているんだろう? とか、まずは会って『こんな糸が、こんな布があるよ』と教えてもらうことで始まることも多いし、こちらから仕掛けることもありますね」
『キャプテンサンシャイン』の服には無骨と洗練、モダンとクラシック、そんな、ともすれば相反する世界の調和を感じる。その服づくりの手法は絵画的にデザインを起こすのではなく、様々な要素を再構築するような印象を持っていたのだが、それは児島さんが高校生の頃から古着の魅力に引き込まれ、20代中盤は男性ファッション誌の編集をしていたということを聞き、とても納得できた。
「自分はずっとエディットして洋服づくりをしているんだと思います。ゼロから生み出すというよりは、50年前、100年前の日本、世界中の洋服のアーカイブから再編集してつくっているようなイメージでしょうか。特に僕は古いものが好きなのでそういうやり方をするんですけど、『キャプテンサンシャイン』を始めるにあたりファブリックカンパニーに入ったことで、それまでのつくり方に加えて、素材についてさらに学びながら進めるようになりました」↙︎
「面白い素材をつくる人に出会うことがモノづくりのヒントになるんです。その繰り返しですね。この職人さんたちは次にどういうこと考えているんだろう? とか、まずは会って『こんな糸が、こんな布があるよ』と教えてもらうことで始まることも多いし、こちらから仕掛けることもありますね」
『キャプテンサンシャイン』の服には無骨と洗練、モダンとクラシック、そんな、ともすれば相反する世界の調和を感じる。その服づくりの手法は絵画的にデザインを起こすのではなく、様々な要素を再構築するような印象を持っていたのだが、それは児島さんが高校生の頃から古着の魅力に引き込まれ、20代中盤は男性ファッション誌の編集をしていたということを聞き、とても納得できた。
「自分はずっとエディットして洋服づくりをしているんだと思います。ゼロから生み出すというよりは、50年前、100年前の日本、世界中の洋服のアーカイブから再編集してつくっているようなイメージでしょうか。特に僕は古いものが好きなのでそういうやり方をするんですけど、『キャプテンサンシャイン』を始めるにあたりファブリックカンパニーに入ったことで、それまでのつくり方に加えて、素材についてさらに学びながら進めるようになりました」↙︎
OUTPUT
「旅のすべてがインスピレーションの源になっているんです」
児島さんの洋服づくりのインスピレーションには、高校性の頃から夢中になっていた古着などのアーカイブ、そして日本のモノづくりの現場から得る情報に加えて、旅と遊びの要素が不可欠だという。
「毎シーズン、展示会が終わると少し長めに休みをとって旅に出るんです。ロードトリップが好きで、フランスを北から南まで縦断しようとか、アメリカ大陸を横断してみようとか、自分の好奇心が向く土地を旅先に選ぶんですけれど、旅は製品のテストも兼ねているんです。飛行機や車での移動を通して動きやすさやポケットの数、またはレイヤリングなど着心地と機能を確認していく感じですね。そのテストは次に生かされますし、旅先で目にするものすべてに刺激を受けますね。外国は色のパレットが全然違いますからね。ポルトガルなら中間色でメキシコなら原色とか、街並みや建物を眺めているだけでもとても面白い。旅のすべてがインスピレーションの源になっているんです」
趣味であるサーフィンにおいても、直接的にサーフィンを意識したものをつくるというわけではないが、アフターサーフでの着心地など海や山での遊びを通してテストを重ねているそうだ。20代後半に東京から湘南エリアに移住してきたのもサーフィンが一番の理由だったというから、海で過ごす時間を求めて仕事の拠点も湘南エリアに移しても不思議ではないのだが、東京を活動拠点にするのには理由がある。 ↙︎
「毎シーズン、展示会が終わると少し長めに休みをとって旅に出るんです。ロードトリップが好きで、フランスを北から南まで縦断しようとか、アメリカ大陸を横断してみようとか、自分の好奇心が向く土地を旅先に選ぶんですけれど、旅は製品のテストも兼ねているんです。飛行機や車での移動を通して動きやすさやポケットの数、またはレイヤリングなど着心地と機能を確認していく感じですね。そのテストは次に生かされますし、旅先で目にするものすべてに刺激を受けますね。外国は色のパレットが全然違いますからね。ポルトガルなら中間色でメキシコなら原色とか、街並みや建物を眺めているだけでもとても面白い。旅のすべてがインスピレーションの源になっているんです」
趣味であるサーフィンにおいても、直接的にサーフィンを意識したものをつくるというわけではないが、アフターサーフでの着心地など海や山での遊びを通してテストを重ねているそうだ。20代後半に東京から湘南エリアに移住してきたのもサーフィンが一番の理由だったというから、海で過ごす時間を求めて仕事の拠点も湘南エリアに移しても不思議ではないのだが、東京を活動拠点にするのには理由がある。 ↙︎
「長野の白馬の山で育ったことやサーフィンを続けていたこともあって、東京で暮らしていた時も、ここではないなという感覚はありました。もっと自然に触れていたいと思って湘南に移住したわけですけれど、こっちに仕事を持ってこないのは、日本のファッションの震源地、南青山でやりたいという気持ちと、自分にはオン・オフがものすごく大切だということがあります。電車に乗って東京から戻ると北鎌倉駅ぐらいから空気が変わるんです。凛とする感じ。あの感覚がすごい好きなんですよね。オンからオフに切り替わるんでしょうね。でも、いつか、例えば50歳を過ぎたらこっちにアトリエを持ちたいという思いは持っているんですけどね」
児島さんの洋服づくりは経験と知識を積み重ねてエディットする手法。これからも積み重ね、ずっと進化し続けるのだろう。遠くない未来には鎌倉のアトリエから生み出される一着ができるかもしれない。
児島さんの洋服づくりは経験と知識を積み重ねてエディットする手法。これからも積み重ね、ずっと進化し続けるのだろう。遠くない未来には鎌倉のアトリエから生み出される一着ができるかもしれない。
THE PADDLER PROFILE
児島晋輔
1976年、兵庫県生まれ。長野県・白馬育ち。ファッション誌のエディターを経てアパレルデザイナーへと転身。2013年に自身のブランド『キャプテンサンシャイン』をスタートさせる。
自身が培ってきたヴィンテージのアーカイブと優れた日本の技術を編集するようにして洋服を生み出している。