CITY GUIDE THE PADDLERが紹介するとっておきのスポット
GUIDE SPOT 根岸商店 逗子 | 酒屋
逗子・小坪に代々続く「根岸商店」は、生粋のローカルである父娘が営む、昔ながらの小さな商店だ。店では毎朝届く鎌倉・大町の老舗ベーカリー「日進堂」の食パンや、小坪産の海藻「アカモク」を練りこんだうどんなど、ローカルならではの商品も顔を覗かせる。また、印象的なのは通称「NegiT(ネギティー)」と呼ばれるオリジナルTシャツだ。店によく集まるローカルサーファーのひとりで、イラストレーターとして業界でも話題の花井祐介さんがデザインしたものだ。
漁港を中心に古くから栄えた小坪は地理的条件も相まって地域内の結びつきが深く、それは現在まで続く「須賀神社」の「天王祭」にも垣間見ることができる。年に一度のこの夏祭りは、町や谷戸ごとの山車6台が練り歩く盛大なもので、今では新旧の住人たちが一つとなって盛り上げる行事となっている。このような人々のつながりを生み出す一端を、根岸商店のような地元密着型の店が担っているのは確かだろう。小坪にもかつてはいくつもの商店があったそうだが、ほとんどが時代に淘汰されてしまった。そんな中「根岸商店」は形を変えながらもこの地にしっかりと根付き、今も変わらず町内の中心的な役割を果たしている。
小坪のことを知り尽くした昔気質ながら実は茶目っ気たっぷりのご主人と、その娘で父からローカルの昔話を聞いて育った地元愛あふれる里衣(りえ)さんが営むこの店では、彼らとの談笑を楽しみにやってくるお客さんも多い。買い物に来る人はもちろん、犬の散歩の途中で顔を出す人もいれば、カップラーメンを購入して食べている近所の人もいる。週末にはサーファーたちがビールやつまみを買って、外のベンチで楽しむ光景も。今日も小坪には穏やかで優しい時間が流れている。どこか懐かしさを感じる海辺の小さな街の風景がここにある。
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「小坪の漁港市場の並びの昔ながらの町の酒屋さん。散歩の際につい寄って外のベンチで缶ビールを飲んでしまいます」井伊乃士さん