高台に湘南国際村や葉山国際カントリー倶楽部を臨む葉山町・上山口。“材木店”と聞くと業者向けと思いがちだが、この地にある「永津材木店」は、積極的に一般の客たちにもその門戸を開いている。スギ、ヒノキといった建材を右手に見ながら敷地内を進んでいくと、事務所や工房、ベニヤ板などが置かれた建物が見えてくる。一般客の中にはレッドシダーを購入してウッドデッキをつくってしまうDIYの強者もいるそうだが、ここでは上級者でなくてもさまざまに「木」を楽しむことができる。

子どものいなかった先代叔父夫婦からこの店を引き継いだ永津裕司さんは、材木店という立場とは別の角度からも木に親しみ、“木の仲間を増やしていきたい” という思いをこの場所に注いでいる。それは、ここを「HAYAMA CRAFTSMAN'S LODGE」と名付け、木を使ったモノづくりやライフスタイルを提案する活動に垣間見られる。

例えば、敷地内に設けた貸し工房。近所の「家具工房 OHARA」と共同運営し、客たちが購入した材料を自ら加工したり、家具をつくったりすることができるようにしている。機材や工具がそろった工房では、DIY初心者でもOHARAさんによるレクチャーが受けられ、安心して作業が進められるのだ。ちょっとした木材の販売から、DIYのサポート、そして子どもでも楽める「薪割り体験」の主催などまで、幅広い層に応える活動に親近感が湧く。

そして今、永津さんが力をいれているのが、間伐材や端材、かんな屑などを細かく砕き、直径6ミリほどの円筒形に圧縮形成した固形燃料「ペレット」だ。資源を無駄にしないこと、薪と違ってほとんど煙がでないことが特徴の燃料で、それを利用する屋内外用ストーブのほか、ピザ焼き釜も一緒にここで紹介・販売する。ローカル密着型の永津さんは、いづれば地元で伐採される木材からの木くずもペレット化したいと考えている。

木材を買いたい、木で何かつくってみたいと思いたった時には、そのスケールに関わらず、ぜひ永津さんに相談しに訪れてみてほしい。