江ノ島から目と鼻の先。The Market SE1（ザ・マーケット・エスイーワン）は、14㎡と小さな店構えながら、ジェラートづくりへのこだわりは最大級だ。

オーナーは、東京の星付き懐石料理店の元料理人で、イギリスの一流レストランでの活躍の後、ホンダのF1チームの専属シェフとして世界各国を回った新安夫（あたらし やすお）さん。「新鮮なモノを提供したい」と、素材にとことんこだわり、添加物も一切なし。牛乳は、島根県の自然豊かな山地で放牧されるストレスのない牛のミルクを使用し、果物や野菜は、旬が原則。Km０の素材に加え、西表島のパイナップルや静岡のいちごなど、どれも農家や生産者を巡った選りすぐりだ。この時期のおすすめ「甘酒」には、石川県の大吟醸を選んでいる。

どのジェラートも、素材の味が直球で濃厚なのに、ライトでヘルシー。１人で２〜３カップ食べる男性もいるとか。また、鮮度、できたてのおいしさにこだわり、小型マシンで少量を1日に３〜４回つくる手間を惜しまない。

世界を知る料理人ならではの経験とセンスが凝縮されたおいしさ。とはいえ、新さんは、そのキャリアを鼻にかけることはない。大のジェラート好きで、海と自然に恵まれたこの地を愛するローカルとして「みんなをおいしさでニコリとさせたい」と純粋に考えている。そんな彼の素朴さと明るい性格も、リピーターを絶えさせない。ここでは、メニューにあるワインやビールを飲みにふらりと立ち寄るローカルのお客さんも多いとか。
「夏はビキニで来る人もいますよ。海からあがって、フラっと来れる場所でありたい」