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GUIDE SPOT 天山湯治郷 箱根 | 温泉
湘南に暮らす人にとって、箱根はふらりと訪れられる身近な癒しのデスティネーション。中でも箱根の玄関口、湯本にある「天山湯治郷」を日常のリトリートとしている人も多いはずだ。
水鳥が飛来し、ヤマメが生息する須雲川が流れる谷間。奥湯本の豊かな自然に抱かれたここは、約8,000坪もの施設でありながら、深山にひっそり佇む湯治場のような趣がある。見事に取り入れた自然の風景、ノスタルジックで奥ゆかしい空間に心を癒されながら、7つの源泉から湧く良質な湯に身を委ねることができる。露天風呂だけで構成した“日帰り温泉”としては日本初、創業当時からの「源泉浴」の考えは今も健在だ。湯に一滴の加水もせず、独自の熱交換技術にて、純度100%の湯を密閉したまま適温にし、毎時20,820リットルの源泉を湯船に注ぎ続ける。さらに、塩素に代わる銀イオンによる独自の殺菌法が湯の鮮度を保ち、その肌あたりは優しく柔らか。
温泉のほか、食事処や休憩のための座敷を設けた施設「ひがな湯治 天山」の5湯からなる男湯は、ほどよく熱めの温度設定。温泉本来のパワーをダイレクトに感じ、湯上りは爽快だ。また、温泉をスチーム状にして室内に満たした「窯風呂」もお薦め。体に優しく発汗を促し、デトックス効果が抜群なのだ。プライベートな空間で休みながらの湯治には、貸座敷「離れ雲」(有料) を利用するといい。竹林の中にある露天風呂「奥の湯」が利用でき、源泉浴と森林浴を同時に楽しむ趣だ。
サラリと入浴だけを堪能したければ、檜風呂と野天風呂2湯だけの施設「かよい湯治 一休」がいいだろう。山に向かって開かれた風呂からの四季折々の景色が最高だ。自然と一体となる瞬間がそこにある。
社会の中での立場、老弱男女の隔てなく、湯の中ではみんな一緒——1966年に開湯し「誰もが隔てなく穏やかな気持ちになれる“共同湯“ こそ温泉の本質であり魅力」として歴史を刻んできた「天山湯治郷」。こだわりやスタイルさえも脱ぎ捨て、身ひとつで軽やかさを味わいに行くのはどうだろう。公私の役割からひととき離れた「裸の自分」になれる場所だ。
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「自宅から車で15分、老舗の日帰り温泉施設です。幼少の頃から両親とよく訪れ、今も仕事終わりの平日の夜によく行きます。年季の入った木張りの床、 休憩所の畳など、時を感じる場所が多くて好きです。夏にはお庭で蛍観賞もできます」加藤かい さん