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GUIDE SPOT もやい工藝 鎌倉 | 民藝店
源氏山の深い緑の景色と香り、日本家屋のクラシカルな佇まいに、どこかノスタルジックな心地良さを覚える「もやい工藝」。ここには、青森から沖縄県に至るまで、日本各地から仕入れた、職人の手仕事による数々の器と生活の道具がそろう。見応えのあるアイテム数と、素朴ながらモダンにさえ感じる演出に、誰もが虜になるに違いない。特に、焼き物に興味を持つ男性客が多く、ひとりでふらりとやって来ては、丁寧に選んで帰るというシーンも定番だそう。 風通しの良い店内と親しみのあるスタッフ、手に取りやすい価格帯のアイテムに、ついつい長居してしまうのもこの店ならでは。ただ眺めるだけの美術品ではなく、日常に生きる実用品としての民藝の「美の価値観」が、見事に演出されているのだ。 店の創設者は、現代の民藝活動の偉大な貢献者として知られる故・久野恵一さん。単に美しいものを集めるのではなく、日本の古き美しき風土と民衆の生活を残してゆきたい、と各地のつくり手を尋ね、ともに製品をつくり、いまに繋いできた。その志は、息子で2代目の民樹さんへと自然と受け継がれている。つくり手と使い手を結びつける「もやい工藝」を基軸に、今に生きる民藝のために、先代と変わらず産地を巡り歩く日々だ。 信念をもって、丹精を込めて伝統と手仕事を守り、過去と現在をシンクロさせて民藝を今に提案する「もやい工藝」。ここで見つける「用の美」で、まずは自宅の食卓という小さなギャラリーを楽しんでみては。
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「日日食堂で使う器は、ほとんどがこちらのものです。民藝の思想を学びに定期的に通いつつ、もやい工藝さんが窯元さんとつくり上げた器に負けぬ、良い料理とサービスを提供できるよう、日々精進しています」
坂間洋平さん