CITY GUIDE THE PADDLERが紹介するとっておきのスポット
GUIDE SPOT FLOWER COFFEE / BREW BAR 茅ヶ崎 | スペシャルティコーヒー
茅ケ崎駅から海までを走る“雄三通り”と “鉄砲通り”の交差点。その目と鼻の先に、スタンドスタイルでスペシャルティコーヒーをもてなすこの店がある。深海を想わせるブルーの差し色とやさしい光がもれる陶器の照明が印象的に浮かび上がる真っ白な店内。シンプルな中に、店主のセンスの良さと人なりが自然と伝わってくる。
「白ワインや紅茶のような印象があります。華やかでありながらスッキリと飲みやすいですよ。初めてご来店いただいた方にはまずおすすめしています」。店主・平尾智一さんが、福岡のロースター「COFFEE COUNTY」の豆・エチオピアをセレクトし、ハンドドリップでアイスコーヒーを淹れてくれた。香ばしさが鼻をくすぐらせながら、コーヒーがカラカラと氷をとかしてゆく。ワインのソムリエを彷彿しながら、その光景に見とれてしまった。
2017年オープンからセレクトするのは、豪・シドニー「Single O」の豆。平尾さんが、豆や焙煎への情熱のみならず仕事や社会への取り組み方にも惚れ込んだロースターだ。まだスペシャルティコーヒーが一般的とは言えない茅ヶ崎において、絶妙な煎り具合のその豆を使って、ローカルたちを少しづつその世界へ引き寄せてきた。そして2年が経ち、更に幅広い楽しみを伝えるべく取り扱いを決めたのが前述の「COFFEE COUNTY」。2つのロースターをうまく使い分け、華やかなコーヒーの魅力を伝えている。地域のコーヒー文化の成長に合わせて店も柔軟に進化させてゆくのが平尾流なのだ。
常連たちがここで楽しみにするのは、コーヒーだけに止まらない。店内で過ごしていると自然と生まれる会話や、訪れる人たちとの繋がりだ。「コーヒーを通じてできた繋がりから、新しい動きや挑戦が生まれていってほしい。それが地域をより魅力的にすると信じていますから」。その思いは店名にも込められていた。” FLOW” は「自然体」の意、 “FLOWER” は「自分らしく自然体で生きる人」と「花」を指す。1杯の華やかなコーヒーに、フラワーたちが集まり、素敵なハプニングが生まれてゆく……。
「花」のロゴを冠したカップを手渡す平尾さんの姿は、一輪の花を手渡すような丁寧さ。ここで体験するすべてに、想いとストーリーが込められているのだ。
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「本質を見極めた亭主が厳選した豆を挽いてくれるコーヒースタンド。毎月違うアーティストによる個展も行っているので、いつ行っても新しい感度を与えてくれます。広い知見をもった亭主がいる居心地良い場所に、一日中いたくなります」福井雄大さん