昔ながらののどかさとビーチタウンの拓けた感性が共存する茅ヶ崎・鉄砲通り界隈。「DIG IN SANDWICH」はこの通り沿いに今年2月オープンした。店主・内海達也さんは、かつて暮らした米・ポートランドに見ていた理想的な出店環境と同じ空気感をここに見つけたという。

日当たり良好、ウッドを基調にした40m2ほどの店は、通りに面する壁が全開になる開放的な空間。その半分は本格的な設備のオープンキッチンが占め、店主の料理人としての真摯な姿勢と自信も自然と伝わってくる。

「DIG IN SANDWICH」の起源は、店主がポートランドの友人宅で衝撃を受けた“サンドイッチ”にある。フライパンに押し付けカリカリに焼いたパンに、グリルした厚めの肉と庭からの野菜をつめ、手作りのドレッシングを回しかけた一品だ。ひと手間かけたサンドの “おいしさ”と“喜び” を多くの人に伝えたいという思いが込められている。

ここでの主役は、オーダーが入ってから作るグリルドサンド。肉から野菜までグリルにこだわるのは、水分を飛ばし旨味を濃縮した具材と、カリっと焼いたパンの食感のコンビを最後まで存分に味わうためだ。シンプルな料理だけに、ごまかしは効かない。だからこそ、焼き加減への鋭い視線はもちろん、良質な食材選び、ソースやドレッシングの自家製の徹底、と仕込みにも余念がない。６種のグランドメニュー中、一番人気の「BBQ プルドポーク」にも、湘南・宮地豚を選び、野菜とじっくり煮込んでいる。それを鉄板でグリルにかけ、半面を香ばしく焼いたチーズを絡めた逸品だ。封じ込めた旨味と香ばしさが口で広がるボリューミーなサンドを頬張る喜びといったら。選りすぐりの米・西海岸からのワインやクラフトビールと一緒にぜひ味わってほしい。

人気ダイナーの数々を国内外で仕掛けてきた東京の大手企業での経歴と、心に蓄えてきたおいしさと喜びのカタチを、ここ地元湘南で重ね合わせる内海さん。ローカルに寄り添いながら何か新しいハプニングで刺激をも与えてくれる店となってゆくに違いない。