「敷居が高いムードをなくし、気軽な（＝light）気分で来てほしい」。
そんなオーナーの気持ちが店名に表れている「Bar Light」。観光客で賑わう鎌倉・小町通りが、落ち着いた素顔を取りもどす夕暮れ時の19時、店の奥にフワリと明かりが灯る。アンティークのテーブルライトからこぼれる光 (=light)が、この店の目印だ。

カウンター7席からなるバーは、心地よいジャズが流れ、落ち着きのある大人なムード。今年30歳を迎えるオーナーでバーテンダーの秋山隆介さんが、自ら海外に足を運んで入手したレアなお酒や、古道具や骨董店などを巡って蒐集してきた１点もののグラスの数々も顔を覗かせる。お酒はもちろん、飲むスタイルや居心地良い空間への秋山さのこだわりとセンスの良さが伝わってくる。そんな空間では、アペリティフにカクテルを飲む女性たち、ウィスキーを楽しむ男性たちの姿が定番だ。夏ともなれば、誰もが特製の「モヒート」を心待ちにやって来るそう。

葉山出身の秋山さんは、東京でのキャリアを経、独立にあたり湘南へUターンした。「鎌倉を選んだのは、居心地の良さから。この街は、人と人との距離がとても近く、温かい」と彼が言うように、鎌倉はバー文化においても店ではなく、店主に客がつくのだという。実際、常連たちは「隆介の店に行こう！」が合言葉だ。

クローズは、鎌倉で最も遅い深夜3時。飲食店や居酒屋で働くローカルたちにも、バーを楽しむ流儀を模索する若者や観光客たちにもくつろいで欲しいという気持からだ。
「バーという世界を楽しむための『扉』のような存在になれたら、と思っています」