日本のヨット発祥の地、葉山。そのランドマーク的な存在が、1964年の東京五輪に合わせて開業された「葉山マリーナ」だ。そんな歴史あるヨットハーバーの敷地内に建つ複合施設2階に、本格的な広東料理が食べられる「青羅」はある。店の扉を開くと、大きな窓の外には相模湾が広がり、晴れた日には江の島や富士山が一望できる。海側の席からは、クルーザーが出入りする様子が眺められ、葉山らしい優雅な時間が流れている。

絶景はもちろんのこと、定評があるのは料理の確かな味。中華ひと筋30年以上の経験を持つ料理長の梅澤政勝さんは「中華料理の魅力は、食材を捨てないこと。素材すべてを使い切ることができる」と、素材の持ち味を余すことなく生かした、上品な中華をもてなす。

「旬菜コース」に登場する「ソフトシェルクラブの衣揚げ 油淋ソース」は、蟹に薄づき衣をまとわせ、高温で一気に揚げ、素材の旨みを逃さず封じ込める。その食感は、カリカリと香ばしく、身はふわっとやわらか。さらに、酢とごま油が効いた油淋（ユーリン）ソースが、素材のおいしさをより引き立てる。中華といえば、大皿でシェアするイメージだが、ここではコース料理の場合、懐石料理のようにひとり一品ずつ提供されるので、落ち着いて食事ができるのも魅力だ。

もし、夕食に出かけるのであれば、日没の時間を狙って予約するといい。海沿いの席から、水平線に陽が沈んでいく様子が眺められ、「青羅」にいる価値をさらに体感することだろう。
彼女や妻を連れ、たまにはちょっとロマンチックなデートを楽しんでみるのも、いいかもしれない。