財政界の要人や文化人の多くに愛された別荘地、大磯。この町には、時を経ても変わることのない気品と昔ながらの佇まいが残っている。近年、1万人をも集客する大磯港での「大磯市」をはじめ、地元の若い有志たちによる様々なイベントや、新コミュニティスポットの誕生などで、何かとニュースな大磯でもあるが、そこにもこの町らしさを置き去りにしない感性がしっかり受け継がれている。

そんな大磯の若者たちの多くが慕い、彼らが足しげく通う店が、この「グルニエ・メメ」だ。メメさんこと井元 文さんが、自宅とガレージを開放し、大磯を中心に湘南中から集めた骨董やヴィンテージの家具、古道具や雑貨を紹介する。老舗和菓子屋の古家具から民芸の器やハッピ、昭和レトロな看板からブリキのバケツまで、価値や時代、出何処も様々な商品が一色単。外界の感性から解放され、自分だけの特別を見つけ出す楽しさがある。

この道30年。「暮らしの楽しみとなるもの」をテーマに、様々なクラスの商品を多様な顧客に紹介してきたメメさん。中でも、心意気のある地元の若者たちを熱心に応援している。「解体業者や気取ったバイヤーからしたらゴミであっても、若者には宝だったりするもの」と、素朴な古材や建具、道具類なども決して無駄にせず、若者たちに紹介する。

「私自身、完璧なものは苦手なの。サビなど自然に風化したものも大好きなの」と、古いガラス瓶に京都仕込みの技で、野花を生けるメメさん。“もの”だけでなく、暮らし方の“ヒント”が見つかる場所だ。