相模湾の最西端。真鶴町は、昔ながらの町の佇まいと豊かな自然の姿を、町をあげ守り続けてきた小さな港町だ（真鶴町の「美の基準」は、 [SHONAN CODE第1話]で紹介中）。漁師町でもあるこの町には、新鮮な海鮮料理をもてなす店があちこちに点在するが、なかでも丸入水産（まるいりすいさん）は、感激ランチを約束する穴場的な食処。

日本三大船祭りの一つ「貴船まつり」で有名な貴船神社のお膝元、湾に寄り添う丸入水産が食堂をオープンさせたのは40年前だ。ここには観光客向けの華やかな店構えなど必要ない。飾らぬアットホームな居心地、毎朝仕入れる真鶴湾からの鮮魚を使ったうまい料理の質と大胆さが、本当のおいしさを求める食いしん坊たちを惹きつけてやまない。

一番人気の「まるいり定食」(3,200円)では、約11種の地魚の刺身が、鮮度を落とさぬようにと舟盛りスタイルで魚ごとに時間差でもてなされる。宝石のように艶のある刺身は、活け造りであることも度々。ユメカサゴ、ホウボウ、本カワハギに名物のアジ、伊勢エビにサザエ……と季節、その日ごとの “ベスト” な地魚がプリプリとした歯ごたえ、意表をつく新鮮さで目の前に。その質と量の驚きは、訪れた者だけが知ろう!

いつも元気でオープンマインドな２代目店主の遠藤 清さんと厨房で腕を揮うその母、典子さんが明るく迎えてくれる丸入水産。田舎の親戚の家にでも遊びにきたかのような温かさもまた、ここのごちそうなのだ。