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GUIDE SPOT 飯島商店 大磯 | 酒屋・居酒屋

Photos&Text : Miku Kamiura  

かつて多くの漁師たちが住んでいた「下町」と呼ばれる地区。そのちょっとディープな一角に、昭和初期の民家を改装した飯島商店はある。一見、昔ながらの酒店だが、店内奥ののれんをくぐると、隠れた名店が現れる。

家庭的な雰囲気で迎えてくれるのは、店主の飯島誉雄(たかお)さんと、奥さんの紅子(もみこ)さん。メニューはない。料理はどんどん出てきて、止まらない。
「たくさん食べてもらいたいじゃない」とは、料理をつくる紅子さん。地元の魚屋から仕入れる刺し身に始まり、野菜、揚げ物、煮豚。これで終わりかと思いきや、最後にひとり丸ごと1匹分の魚の煮付けが供されるなど、驚くような量の料理が登場する。

一度出すとリクエストが絶えないのが、人数分ドカンと皿に盛られた茶碗蒸しだ。鳥のひき肉とたけのこをオイスターソースで炒めたあんの評判がいい。エビフライは、全長約20cm、衣は薄く、サクサクの食感で、若者たちは手を叩いて喜ぶという。酒は、洒落たワインなどはく、昔ながらの生ビール、サワー、日本酒がメインだ。たとえ酒を嗜んでも、お会計はえっ、と驚くほど安い。

「マスターもママも、もうけじゃないのよ。マスターが一番酔っ払ってるし(笑)。ここに来れば、この場にいる人とすぐにお友だちになれるの。憩いの場よ」週に2、3回は通う60代の女性客はこう話す。

座敷には数ヶ月前からの予約団体客が多いが、仕事帰りにひとり立ち寄る客もいるという。まっすぐに家に帰りたくない。そんなとき、酒を飲み、お腹がいっぱいになるまで食事をし、酔っ払い、その場で出会った客と談話する。
また明日も、がんばろう。そんなふうに思わせてくれる場所だ。

DATA

飯島商店

神奈川県大磯町大磯1702
Tel. 0463-61-0021
OPEN. 17:00〜22:00
CLOSE. 火

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「大磯の奥座敷。友だちの家で飲んでいるかのように落ち着いて、飲める場所。大人数が集まり、地元の仲間と打ち上げするといえば、ここです」

原大祐さん