CITY GUIDE THE PADDLERが紹介するとっておきのスポット

GUIDE SPOT H x M(アッシュエム) 平塚 | フランス料理

Photos: Nobuo Yano  Text: Paddler

道路にチッピングされた白い砕石がまるで海面のきらめきのように映る、平塚なぎさプロムナード。JR平塚駅南口から一直線、海岸まで導くこの大通りに「H x M(アッシュエム)」が佇む。湘南のフレンチレストランの中でも予約が耐えない人気店だ。

その魅力はほかでもなく、“Made in Shonan 100%” を目指し、良質で安全な旬の地元食材で作る優雅でハッピーな料理にある。それは2002年の開店以来、地道に築きあげてきた地元の農家や漁師、数々の生産者との密な連携体制による賜物だ。その背景には、健康的な食、湘南の第一産業と文化の “循環” に真摯に取り組むオーナー、相山洋明さんの地元愛がある。

「5日間熟成させた地スズキと平塚野菜、ナスのキャビア見立て添え」、「箱根西麓牛ランプ肉のロースト 湘南味噌と落花生のソース」などを始め、メニューには伊勢原の大山阿夫利牛や藤沢のみやじ豚、平塚のローズや鵠沼の魚醤といった食材が顔を覗かせる。ここへ来る度に体験するのは、おいしい湘南食材の新発見と、この土地の豊かさの再発見だ。

「ここでないと作れないものがあるんです」。相山さんは、海と山に縁取られ、豊かな食材と個性的な生産者が多く存在するという平塚に大きなポテンシャルを見ている。フレンチの巨匠料理人、勝又 登シェフ率いる名店、日本初のオーベルジュ「オー・ミラドー」(箱根)にて弱冠29歳にして支配人となり、シェフ直属で7年を務めた彼は、同店で修行をした手塚善大シェフとともに、今ミシュラン1つ星獲得に尽力をしている。そのビジョンは質の高い店づくりを超え、美食の町・平塚を目指すもの。食を通じた街づくりだ。

今日も湘南内外からの常連たちが賑やかにテーブルを囲む景色がある。相山さんが考えるフレンチのマナーとは、ハッピーになれる食事をいう。哲学と志はフレンチ、表現方法は湘南ならでは。この店の「湘南ハッピーキュイジーヌ」のコンセプトが客たちをさらに惹きつけている。

DATA

H x M(アッシュエム)

神奈川県平塚市夕陽ヶ丘3−5
Tel. 0463-27-2171
OPEN. 11:30~13:45(L.O.)/ 18:00~20:30(L.O.)
CLOSE. 火・月の夜(予約状況により変更あり)

RECOMMENDED BY

「僕もベルマーレの選手たちも日頃からお世話になっているカジュアルフレンチの店です。平塚沖イサキとか箱根の西麓牛、相模豚など、地元の旬の食材にこだわったメニューを楽しむことができます」

眞壁 潔さん