湘南にこんな風景があったとは。大磯から北へ、深緑を眺めながらのドライブでたどり着く奥湘南、中井町松本。ここに、ヨーロッパの丘陵地に広がる田園を思い起こさせる風景がある。淡いモスグリーンの葉が風に揺れる見事なオリーブ農園だ。約1500m2もの敷地は、関東では最大規模、約3000本ものオリーブの木々が生い茂る。晴れた日には正面遠方に相模湾に浮かぶ江ノ島を、西には富士山を眺めることができる。湘南が誇るべきもう一つの表情がここにある。

ここは、平塚を拠点に造園業を営む「湘南造園」が、農業部門にて取り組むオリーブ栽培地の一つ。かつてゴルフ場が計画されていたというここを買い取り、原風景を残した新たな農業にチャレンジ。温暖な気候と豊かな自然環境が特徴の湘南で、オリーブ栽培の適正にいち早く着目し、町をあげオリーブ生産と普及活動を2014年にスタートさせた二宮町からの声がきっかけだった。近年、湘南地区のあちこちでオリーブ栽培が盛んになり始めている。ここ「湘南ファームビレッジ中井オリーブ園」が目指すのも、将来の湘南の特産品「湘南オリーブ」と、未来へ繋ぐ湘南の農業だ。

昨年からオリーブオイルの製造をスタートさせた当農園。テスト提供した地元レストランなどからはとても好評だったという。「湘南オリーブ」を一般家庭が日常的に楽しめる日は、もう少し先かもしれない。だが、ぜひ一度農園へ訪れてみてほしい。この畑が与えてくれるものの大きさと、湘南の魅力を体感できるはずだ。