CITY GUIDE THE PADDLERが紹介するとっておきのスポット
GUIDE SPOT 今古今 大磯 | ギャラリー・食堂
こんなところにこんな店がーー そんな意外な発見の喜びを「今古今」との出会いに誰もが感じるだろう。築70年を経た木造の電気部品工場跡を今に蘇えらせた「今古今」。国道1号線沿いにありながら、JR東海道線の走る高架脇に慎ましやかに佇み、そのさりげなさゆえつい見逃してしまう。だが、店に一歩踏み入れば、予想を裏切る伸びやかな空間に驚かされる。荒削りな木造りの空間が育んだ味わいとツヤ、簡素でいてセンスのよい演出力が、ノスタルジックでいて新鮮なインパクトとなって迫ってくる。
「今古今」のコンセプトは、“昔からの手仕事や知恵を取り入れ、暮らしを豊かにすること” 。ここでは、食堂と漆工房、ギャラリーが、曖昧な境界線のもとに一つの世界を成している。入口からすぐに迎えてくれるのは「日日食堂」だ。大磯港で揚がる地魚と無農薬や有機の地野菜を使った丁寧な料理を、手に馴染む民藝の器でもてなしてくれる。その奥には漆工房の「漆具(しっく)」が覗き、「大磯のうるし」をコンセプトに、日常に生きる漆の民器をつくる職人の姿がある。さらに奥には、手仕事を中心とした器や道具の展示と販売、ワークショップを行うギャラリーが。
食事と鑑賞とリラクゼーションと。客たちはそれらの時間を自由に行き来する。「文化的土壌、昔ながらの町並と自然が残る大磯。この町に流れる穏やかな時間と空気、温かみのある人たちがつくる『心地良さ』を、この場所で表現できたら」とは、代表の坂間洋平さん。ここでは、大きなバギーを押したカップルも、杖をついた老夫婦も、おおらかに大磯時間を楽しみながら、多くのひらめきや発見を得ているに違いない。
平塚からの足で黒松の姿が見えてきたら、もしくは大磯からの足で高麗山の存在を感じ始めたら、足取りやアクセルをそっと緩めてほしい。今古今はすぐそこだ。
>>「今古今」の代表・坂間洋平さんの記事はこちら✓
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「イベントのライブ会場に困って、皆でトボトボ歩いてると、目の前に『今古今』が! こんな近所に理想の場所が! 『日日食堂』を併設したギャラリーは、理想的な板張りの空間とスタッフとの程よい距離感で、居心地最高です。今や『象鯨』企画展示の多くをさせていただいています」西村浩幸さん