辻堂駅南口の閑静な住宅街に、ドイツ語で “パン屋”を意味する店名を掲げた「ベッカライ タカヤマ」はある。てっきりライ麦を使った、ハード系のドイツパン専門店かと思いきや、食パンやフランスパン、デニッシュや惣菜系など、日本人に馴染みのある幅広いパンも取り揃う。

店主の高山英夫さんのパンづくりのモットーは、「手頃でおいしもの」。メロンパン129円、クリームチーズデニッシュ162円など、確かにどれも良心的な価格だ。東京の昔ながらのパン屋の息子として生まれた店主は、都内でドイツパンをはじめ、あちこちの店で修行した後、「サーフィンが好き」という理由から辻堂へとやって来た。2004年にオープンさせた小さなベッカライは、いつ訪れてもパンを焼く芳ばしい香りが漂い、ひっきりなしにお客さんがやってくる。

創業時からの人気は「モーンプルンダー」。ドイツでおやつとして親しまれているパンで、デニッシュ生地に黒けしの実、くるみを巻き込んでつくられている。バターの風味がしっかりとした生地と、ナッツ類の相性がよく、カリカリとした食感もいい。ほかにも、ドイツの食卓パン「プンパーニッケル」と呼ばれる、酸味のある蒸し焼きにしたパンもおすすめしたい。何度も足を運びたくなる地元密着型のパン屋だ。