古から様々な神が山全体に宿る霊山として崇められてきた箱根山。古代、山岳信仰が栄えた箱根において、箱根神社はその霊場として開かれたことをルーツにする。

奈良時代の757年には、万巻上人（まんがんしょうにん）が今の場所に里宮を創建し、箱根大神をお祀りしたと伝えられており、鎌倉期以降、源頼朝をはじめ、執権北条氏や戦国武将の徳川家康など、数多くの優れた武将が訪れた心願成就、勝負の神を祀る場所としても崇められてきた。

背後に迫る箱根山の深緑に抱かれた箱根神社は、さながら深い森に踏み入るかのよう。第四鳥居から社殿まで一直線、巨大な老杉と一体化した合計90段ある石段の参道が、圧倒的な景観と神聖さで迫ってくる。

境内には箱根大神を祀るご本社殿や宝物殿のほか、芦ノ湖の湖畔に鎮まる「九頭龍神社 本宮」と同じ九頭龍大神を祀る「九頭龍神社 新宮」も。水を司る神というとことから金運開運、商売繁盛、さらには縁結びなどのご神徳があるとされている。新宮の傍らにある「龍神水舎」にも立ち寄りたい。９つの龍の口から流れ出すのは、箱根山から湧き水。この霊水を口にすると一切の不浄を洗い清めてくれるという。

ご社殿から芦ノ湖まで一直線に下ってゆくと、湖に浮かぶ「平和の鳥居」が待っている。箱根連山に囲まれ天空を鏡のように映し出す芦ノ湖を背景にした鳥居が見せる絶景に、自然と人の繋がり、神秘なるものとの関わりを感じずにはいられない。