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GUIDE SPOT 光則寺と参道 鎌倉 | 寺院
長谷駅から鎌倉大仏殿へ向かう道中、細い脇道を折れ辿り着く光則寺は、慎ましさの中に美しさが光る鎌倉の隠れた名所だ。山門までの道のりは、表通りの喧騒を忘れさせる緑深い緩やかな坂道。登りつめた先に、しだれ桜やワビスケの木で縁取られた銅板葺き・朱塗りの山門が出迎えてくれる。山の自然が背後に迫る谷戸の寺は、昔ながらの長谷が漂う場所。
光則寺は、5代執権・北条時頼の家臣・宿屋光則(やどやみつのり)により1274年に開かれた。一度は時頼の命により、日蓮宗・日朗上人を幽閉した光則だが、日蓮の教えに帰依するようになり、自らの屋敷を改築してこの寺を築き上げた。境内の裏山を少し上がれば、遠くには由比ガ浜の景色も。さらにその奥には日朗上人がかつて幽閉された土牢も残っている。
境内には、本堂前に鎮座する樹齢約200年のカイドウ(市天然記念物指定) を始め、様々な木々や野草、茶花が生育する。四季折々の彩りが絶えないこの寺は、鎌倉有数の「花寺」とも知られ、その品種の多さでは鎌倉ダントツとも言われるほど。画一的に整備された大規模な寺院の庭園とはまた違う、どこか手の温もりを覚えるプライベート感が心を和ませる。
観光客で賑わう華やかな長谷寺や大仏が鎮座するエンターテインな高徳院もいいだろう。だが、ここには静かに心を震わせる自然と歴史の姿がある。
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「山門までの参道も素敵で、境内を散策すると豊かな気持ちになり、来てよかったと思います。冬に行くと庭の池につがいの鴨がいたりします」小島 景さん